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6話 桃色の羞恥と、無垢な微笑み

Auteur: みみっく
last update Dernière mise à jour: 2026-03-17 13:53:07

「俺はユウ……だ。無事でよかった」

 ユウがそう名乗ると、ミユは俯きがちだった顔をゆっくりと上げた。彼女は頬をさらに赤らめ、その琥珀色の瞳でユウの顔をチラチラと盗み見てくる。何か言いたそうに、スカートの裾を指先でもじもじと弄る仕草は、見ているユウまで恥ずかしくなるほどだった。

 自分を見て、こんなにも可愛らしい仕草をされることなど、ユウの二十数年の人生で一度も経験したことがない。彼の心臓はドクドクと不規則なリズムを打ち、嬉しさと激しい動揺で胸がいっぱいになった。どう対応して良いのか、気の利いた言葉一つ出てこない。結局、ユウは顔が熱くなるのを感じて、耐えきれず先に視線をそらしてしまった。

 気まずい沈黙を破るように、ユウは努めて冷静な声を出した。

「森で一人……なのか? 連れは?」

 ミユはそっと顔を上げ、小さく頷いた。

「はい。……えっと……その、森に山菜や薬草を採りに……つい、森の奥まで入ってしまって……」

 彼女の指差す方向には、籠が落ちていた。ワイルドボアに襲われた際に手放してしまったのだろう。

 ユウは一瞬考える。

 (一人なのか……このまま別れるのも危険だろうし、俺は特に予定もないし、何より……こんな可愛いミユと一緒にいられるチャンスだろ……)

 この夢の世界で、孤独なゲーム生活から解放されたユウにとって、ミユとの出会いは何物にも代えがたい機会だった。彼の心は、すぐに一つの決断を下した。

「そうか、一人で森の中は危険だろ。ヒマだし……その……良ければだが、護衛をするから山菜や薬草を採るのを続けても良いぞ」

 ユウは、出来るだけ自然に見えるよう、ややぶっきらぼうに言葉を選んだ。

 それを聞いたミユは、うつむき加減だった顔をぱぁっと明るい笑顔に変えた。その表情は、まるで太陽の光を浴びた花が咲き誇るようで、ユウの胸を締め付けた。

 だが、その輝く笑顔はすぐに消え、ミユは再び不安げな表情に戻ってしまう。

「えっと……その……わたし、迷惑じゃないですか……?」

 彼女の琥珀色の瞳がユウの顔を伺うように見つめる。

「……迷惑だと思っていたら、ここで別れてるって。それに、やることもないしな……」

 ユウは努めて無関心を装うように、肩をすくめてみせた。しかし、彼の心臓は、早く彼女の「はい」という言葉を聞きたがっていた。

 その言葉を聞いたミユの表情は、今度こそ完全に嬉しそうな笑顔へと変わった。彼女はさっきよりもさらに顔を輝かせ、ユウの目を見て深く頭を下げた。

「……あの、ありがとうございますっ!」

 感謝の言葉と共に、彼女の喜びが弾けるような声が森に響き渡った。その純粋な喜びに触れ、ユウの心は満たされていく。ゲーム内の「承認」ではなく、現実の女性からの信頼と好意を得たのだ。ユウにとって、この夢はもう、単なる逃避ではなくなりつつあった。

 ミユはそう言うと、地面に目を向け、ワイルドボアに襲われた際に麻袋から散らばってしまった山菜や薬草を無警戒に座り込んで拾い集め始めた。彼女の意識は完全に薬草の回収に集中している。

 その体勢に、ユウは焦燥感を覚えた。ユウの方に背を向け、中腰になったミユの短いスカートの裾が、ふわりと持ち上がる。

 そして、その裾の下から、純白の布地が露わになった。

 ミユの白い下着が、木漏れ日に照らされ、まぶしいほどに明るく目に飛び込んできた。ユウは、喉がカラカラに乾くのを感じた。理性では「見てはいけない」と分かっているのに、彼の視線はまるで強力な磁石に引き寄せられるかのように、ミユの白いパンツへと釘付けになってしまう。

 (やばい、やばい……俺、今、完全に見てる……!)

 普段はオンラインゲームの画面しか見ていなかったユウの目にとって、目の前の光景はあまりにも刺激的すぎた。視界の端には、ミユの健康的な太ももの柔らかな曲線が映り込んでいる。ユウの頬の熱が上がり、心臓がバクバクと煩いほどの音を立てた。彼は慌てて顔を逸らそうとするが、一度捉えられた視線は簡単に離れない。まるで、ミユの無防備な姿が、長年の孤独によって飢えていたユウの視覚的な欲求を鷲掴みにしているかのようだった。

 その時、地面を見ていたミユがふと顔を上げた。彼女の琥珀色の瞳とユウの視線が真っ直ぐにぶつかる。

 ユウは、ミユが自分の下着を見ていたことに気づいたのではないかと、全身の血の気が引くのを感じた。心臓が跳ね上がり、呼吸が一瞬止まる。

 しかし、ミユの表情は怒りや戸惑いではなく、ニコッとした屈託のない笑顔だった。

「えっと……ごめんなさい。ビックリしちゃって……麻袋を投げちゃって……」

 ミユは、ワイルドボアに驚いて麻袋を手放したことを謝っているだけだった。下着を見られていたことには、全く気づいていないようだ。ユウは内心、安堵のため息をつき、体の緊張が解けるのを感じた。バレていないと分かり、ホッとした彼は、努めて冷静に答えた。

「そりゃ……ビックリするよな。あんなデカいモノが現れたらな」

 ユウの言葉に、ミユの表情は再び笑顔になった。その笑顔は、さっきまでの恐怖を完全に吹き飛ばしたような、明るいものだった。

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